今回は小説『暁星』湊 かなえ(著)のご紹介!
本作品は、安倍晋三元首相銃撃事件をモチーフに宗教2世の葛藤や苦悩が描かれています。物語は2部構成になっており、私は最後まで読んだ後、1部目を読み返したくなりました。
この小説は、音声で小説の物語が聞けるサービス「audible(オーディブル)」用に書き下ろされた作品のようです。読み物として特に違和感を感じる部分はなかったですが、音声を通して物語に触れると、違った世界観を味わえるかもしれません。
書籍の情報を以下にまとめます▼
INFO
タイトル:『暁星』
著者:湊 かなえ
出版社:株式会社 双葉社
発売日:2025年11月
メモ:音声サービス「audible(オーディブル)」でも配信
あらすじ

現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教「世界博愛和光連合(通称:愛光教会)」に対する恨みが綴られていた。暗闇の奥に隠された永瀬の目的とは──。
「湊かなえ Kanae Minato 双葉社オフィシャルサイト」より
読書感想

自分のためにつく嘘
自分に正直になろうと意識して生きてきた。それは、子供の頃には考えなかった事だ。私は大人になってからくだらないことばかり考えていると思う。他人からの評価、見え方、比較など。気になる事が多すぎてマイナスな感情ばかりが頭を支配する。そんな自分が嫌になって、私は自分という人間を大切にしようと思った。
他人からどう思われようとまずは自分の事、詳しくいうと、自分の心を第一優先にしようと。だから、仕事帰り、同僚社員から飲みの誘いを受けても行きたくないと思ったら断るようにした。もちろん行きたい時は行けばいい。そんな生活を意識すると、こんなにも私は無理をしていたのかと気がついた。自分の心に素直になることによって嫌なものは嫌だと判断ができるようになった。
しかし、そんなストレートに嫌だから行きたくないなど伝えることはできない。断る理由は嘘をつくことになる。気がつくと私は嘘をつくことに抵抗がなくなり始めていた。
何をしたかよりも何を感じたか
とあるカフェで4人の女性グループの会話が気になった。会話の内容としては、数日前に行った旅行についてだ。スマホに撮り溜めた旅行先での思い出写真を見せ合って会話を楽しんでいた。
するとひとりの女性が、「みんなと一緒に旅行に行けてとても楽しかった。明日からの仕事も頑張れそう」と言った。他の女性陣も「そうだね」とか「いい充電になった」みたいな事を言い合っている。その会話を聞いていた私は、疑問を抱いた。この女性陣の感情は女性特有のものなのかと。
男性である私は、この一部始終を通して全く逆の感情を思い浮かべていた。それは、「楽しみにしていたイベントが終わってしまったんだなー」といった感想だ。しかし女性陣は、楽しかったイベントを糧に頑張ろうとしていた。一方私は、楽しみなイベントがこの先あるから頑張れるタイプだった。この異なる感情は何がきっかけで分離していくものなのだろう。
結果?それともプロセス?
結果とプロセスのどちらを重視すべきかという問いは、古くて新しいテーマである。プロの世界においては、結果こそが価値を生み、評価を決定づける指標となる。特にプロスポーツ選手などは、その日のパフォーマンスが数字として記録され、観客やスポンサーからの評価に直結する。結果が求められる世界に身を置く者たちにとって、「結果がすべて」という考えは、むしろ当然の前提である。
一方で、プロセスを重視する姿勢もまた、人間の成長や学びの側面において重要である。特に部活動やアマチュアスポーツ、教育の場面では、結果よりも過程に価値を見出す。失敗したとしても、そこに至るまでに培った努力や忍耐、工夫といった経験が、次なる成長の糧となるのだ。プロセスを評価することは、内面の成熟や自己肯定感の育成につながり、人としての土台を築く重要な要素とも言える。
この両者を比較するとき、私たちは一見対立する価値観のように捉えがちである。しかし、実際には「結果の中にプロセスがあり、プロセスの積み重ねの果てに結果がある」というように、両者は表裏一体の関係にある。人間の感情の側面から見れば、プロセスを大切にすることで敗北の中にも意味を見出すことができるし、結果にこだわることで自らを鼓舞し続けることもできる。

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