今回は小説『アナヅラさま』四島 祐之介(著)のご紹介!
「アナヅラさま」というタイトル、そしてこの表紙のデザイン。書店で目にした際に全くストーリー展開が想像できなかったので、購入しました。
私がこれまで読んできたミステリー作品とは系統の違ったストーリーだと感じました。
書籍の情報を以下にまとめます▼
INFO
タイトル:『アナヅラさま』
著者:四島 祐之介
出版社:株式会社 宝島社
発売日:2026年2月
メモ:2026年『このミステリーがすごい!』文庫グランプリ受賞作。
あらすじ

顔にぽっかり穴の空いたバケモノが人を攫って、穴の中に呑み込んでしまう。バケモノの名は「アナヅラさま」。ーーーーーーある地方都市で女性が相次いで行方不明になるなか、そんな噂が囁かれるようになった。行方不明者の捜索依頼を受けた探偵・小鳥遊穂香は、都市伝説の裏に連続殺人鬼がいると睨み、調査を進めるが・・・・・・。一方、「アナヅラさま」と呼ばれる一連の事件の犯人は、想定外の事態に陥っていた。
『アナヅラさま』裏表紙より
読書感想

不条理な世の中
私たち人間は、一人称で物事を語る時と、三人称で物事を語る時とで考え方の根底が異なることがよくある。往々にして、三人称の時は人に厳しくなる。特にSNSでは顕著に表れていて、他人の行動に対する苦言は、厳しい言葉遣いで表現されていることが多い。
人間誰もが完璧ではない。「人間だもの」という言葉があるように私たち人間は不完全な生き物である。そのため、当然ミスをする。さらにいうと、そういったミスも十分考慮したにも関わらず起こってしまったミスと、適当にやった結果のミスがある。
それらの背景は、表面的な情報からは認識することはできず、当事者のみが知る実態だったりする。三人称に厳しくなってしまう私たちは、表面的な情報のみを鵜呑みにし、わかったようなことを言う。
しかし、現実として、苦言を呈した内容と似たようなことを一人称である自分自身がやってしまっていたりする。人はなぜ、一人称と三人称で見える世界が違ってしまうのだろう。小さなミスに大きな鉄槌を下した結果、小さなミス以上の過ちを犯してしまう。その姿こそが「人間だもの」を物語っているのか。
一つだけ身につけられる特殊能力
特殊能力を一つだけ手にできるとしたらどういった特殊能力を身に付けたい?みたいな会話をすることがある。シラフでは馬鹿馬鹿しくなってしまう話題でも、お酒が入っていると、、、、まぁ、ギリ許せる範囲か。
特殊能力と聞くと、「かっこいい技」を思い浮かべる人が多い一方で、やや捻くれた考え方も出てくる。一つの意見を紹介しよう。その特殊能力は、「一時的に消えてなくなる能力」。かなり捻くれた意見であることは間違いない。
「一時的に消えてなくなる能力」。つまり、死ぬわけではない。人間死んでしまったら元も子もない。ただ、人生を生きていると、多少のメンタル的な浮き沈みは経験する人もいるだろう。学校や会社での人間関係、仕事での大きなミス、人間誰しも現実から目を逸らしたくなる出来事の一つや二つは経験する。
そんな時、まだポジティブな表現として、「穴があったら入りたい」という言葉がある。この言葉は、メンタルのダメージからすると、軽度である。自虐的なネタに添えるような感じで「穴があったら入りたい」と使うようなイメージ。
冗談も言えないような、心に深く傷がついてしまうような時は、文字通り「消えてなくなりたい」と思ってしまう。ただ、死にたくはないと。そんな時に使える特殊能力というのが「一時的に消えてなくなる能力」なのだ。ほとぼりが冷めるまでの間、誰にも認識されることなく、現実から消える。いい頃合いを見て、また現れる。確かに魅力的な特殊能力かもしれない。

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